2006年08月19日
多次元神話
インターネットで読んだ Earl Vickers 原作のVision Vine という作品を紹介します。面白い物語だと思いました。
幻覚のつる・・・Earl Vickerの世界
「おまえが他の世界で見てきたことを我々に分かち合ってくれ。」と部族の酋長が尋ねると、そのウォリアーは答えた。「その世界っていうのは、俺が今までに行ったことのない世界だったのさ・・・光眩しくて、目が痛くなるくらいで、雑音はひどく、おまけに混乱しているんだ。そしてまったく今まで見たこともなかった世界だったのさ。」
「どこにその世界はあるんだ?」と再びチーフが尋ねると、「わけがわからないんだが、ここのどこかに存在しているってことは確かみたいなんだ。俺たちがここに座っているのと同時にどこかでね。そしてそこの時代は、人々がすごく強い魔法の力に目覚めて、俺たちの世界なんか一発で吹き飛んでしまうほど恐ろしい武器もあるんだ。」
このようにジャングルの中である種族が集会して始まった会話を黙って密かに集会所の外で聞いていた者がいた。それはアカールという名前の少年だった。壁のすきま穴から中の様子を盗み見していた。その時の酋長の顔が今まで見たこともないほど寂しげな表情にアカールの目には映ったので、そこでアカールはその場をたち、混乱した頭を抱えてジャングルを歩いて行った。確かにチーフが集会で言っていたように、俺たちの伝統も失われつつあり、俺たちの世界は消えていくといっていたが、いったいどういう意味なのだろうかと、彼は森の中で考えこんでいた。
すると、よくみると自分の足元にジャガーの足跡があるではないか。その足跡を追って行くと、アカールはすぐにジャガーが目に止まった。ジャガーとはアカールたちの言語で、「ひとっ跳びで殺す」という意味がある。しかし森の中では一番崇高とされているこの動物が、たった今、彼の視野に飛び込んできたのである。そのジャガーはなんと森の中の大きな大木に絡みついたツルを食っていた。
やがてそのジャガーは、自分の食ったツルを吐き出し始めた。吐き出す度に身震いするのもアカールは見た。すると突然、そのジャガーはアカールの真正面に一飛びし、彼の目を覗き込むではないか。あまりにもの恐ろしさにアカールは、一瞬ジャガーから目をそらした。すると、ジャガーは消えていた。
アカールは、いつか部族の長老たちが、ヴィジョン・ヴァイン(ヴィジョンを見るツル)とよばれるものについて語っているのを耳にしたことがある。しかもそれは絶対に監督人なしにひとりでは飲んではいけないと話しているのを耳にしたことがある。さきほどのように恐怖きわまる最悪の事態を自分は切り抜けられたのだから、村で皆がやっていた儀式を思い出しながら、それを一人で飲んでみてもいいだろうと、アカールは思いついた。
決して好奇心だけではない。アカールがそれを飲みたかった理由は、自分たちの世界を守るためならば、かえってチーフも喜ぶだろうと思った。そればかりか、はれてチーフの娘、イシャとも結婚できるのではないかとアカールは考えたのである。近くの廃虚から壊れた器をひらってきて、切り落としてきたツルを細かく刻んでからやわらかくなるまで、叩きつぶしたものをアカールは器の中に入れて、ぐつぐつと煮だした。
夜暗い森の中で一人になったアカールは、できるかぎりの勇気を出した。そして匂いをかくと吐いてしまいそうになるほど、ひどい味のする煮上がったものを一気に飲みほした。しばらくするとアカールは、ぶるぶると震えだし、冷や汗を流し始めたのである。「おお・・・大変な事になっちまった! 俺はここで死んでしまうのだろうか?!」という恐怖感でアカールはすっぽりと包まれてしまった。
するとアカールは自分が誰かに見られていることに気づいた。さっき森の中で見たあのジャガーが戻っているではないか。するとそのジャガーはアカールに向かって語り始めた。
「おまえはひと爪立てたオレに殺してもらいたいがために、その死のツルを食ったんだな。」とアカールに語りだした。大猫の怒りに燃えたその目を目の当たりにしたアカールは、震え声でこういった。
「おっ俺は、おまえなんか、これっぽっちも、こっ、怖くはないぞ!」
それを聞いたジャガーはその場で笑いころげながらいった。
「おまえなんか怖くないぞ!」というアカールをそのまま真似て、歌を歌いはじめた。
あまりにもの恐怖にその場でアカールは吐くやら、漏らしたりする始末である。それを見たジャガーは、ジャングルの土の上に寝転がって腹を抱えて、ますます笑いが止まらなくなった。笑いながらジャガーはこういいた。
「オレがおまえを食っていたのなら、こんな面白い会話はなかったぞ!」
アカールは自分が確かにジャガーと会話していることに気づいた。恐ろしいが、これはすごい名誉であり、そのジャガーはたった今、自分のアライ(盟友)となってくれたと知り、彼は喜んだ。
さて、これとは場所はかわり、リードという名前の男が、アメリカのある都会のオフィスでボスのデレックからプロジェクトをやめてしまえと、今、怒鳴られている最中である。これはリードにとって最悪の場合は裁判だたにさえ、なりかねない危険な状態である。なぜかというとリードが任されていたのは、大がかりなプロジェクトだったからだ。しかし、リードのボスが一番心配していた事は、リードが自分でデザインした「アカール」というバーチャルキャラクターにあまりにものめり込んでいくことであった。ボスのデレックがオフィスから出ていくや否や、リードは再びヴァーチャル次元に行ける装置の前に戻っていた。
彼は小道を歩いていきながら、ジャングルのムーッとする豊かな匂を楽しんで味わった。「上空から見てみることにしよう! 」とコンピュータに向かってリードはいった。するとシステムは、リードに地図を提供して受け答えたのである。「小道のこの辺にジャングルをぬけて、湖を作ることにして・・・」とセットすると、地図は突然、消えてなくなった。
リードはブッシュマスターと呼ばれる2メートルもある猛毒をもつヘビに噛まれそうになりながらも、今までとはちがうまったく新しいジャングルのトレールを発見し、歩んで行った。「キャラクターを登場させよう!」と、彼がダウンロードするや否や、妙なチクチクするような感覚がリードを襲った。
そこにアカールが座っているではないか!
「なんて変なヴィジョンをこのヴァインはくれるんだ!? もう一つの世界ってひどいところじゃないか。」と目をこすりながらそういっている。
アカールは自分の村に帰り、チーフに自分が見たヴィジョンについて打ち明けることを決心した。「おまえはチーフと仲間たちの集会を盗み聞きしたのか! その上、監督人なしに一人でヴァインを飲んだのだから、罰としておまえをこの村から永遠に追放する。」と、アカールの話を聞き終えたチーフは大声で怒った。
アカールは目を真っ赤にして泣きながら村を去り、あれを飲んだ小屋跡まで再び戻っていった。どうせここで一人で死ぬのなら、もう一つの世界の悪霊と戦かわねばならないことは避けられないと、アカールは考えた。そこで彼はさっきの残りのヴィジョン・ヴァインを一息に飲んでしまった。
するとどうだろう。アカールはまたもや新しい小道を発見したのである。「こんな道、今まで見たことがない。歩き進もう」と、心の中で彼はつぶやいた。やがて湖に出てきたアカールは、水面に映っている自分の姿を見た。すると、なんと自分は裸だった!
これではもうひとつの世界の霊が笑うではないか、と彼は泣き叫んだ。 リードはすばやく後ろを向くと、ボスのデレックが戻ってきていた。もう遅すぎる。なぜかというと、リードが会社の規則を違反をしていることを見とどめたボスはむろん、リードをその場で首にした。
家に帰ったリードは、あの世界が恋しいて、再び戻ることにした。そして彼はヘッドホーンをつけると、すぐに湖に戻っていた。水面に寄り添うと、すぐさまあのキャラクター、「アカール」が登場したのである。アカールはひと瞬きすると、目の前にアナコンダが現われ、彼の足元に巻ついて湖の底へひきずりこもうとしている。彼は悲鳴をあげて必死ではいずり上がろうとした。
「キャラクター、退場!」とリードは命じる。アナコンダにかかればその少年にはチャンスはない。「しかし、待てよ・・・」とリードは考えた。「確か原住民は、自分自身の死と再生を体験するためにアヤワスカを飲むし、動物に変身したい時にもアヤワスカを飲むって聞いたが・・・ではアナコンダよりもジャガーはどうかなあ」と、リードはコンピュータに「キャラクターよ、戻れ」と命じた。
するとジャガーが湖の水面にガォーと吠えて飛び出てくると同時に、アナコンダの頭を爪で裂いた。強く締めつけられていたので毛を逆立てながら吠えると、アナコンダの息は絶えていた。アカールが巨大な猫の前足を見つめていると、たちまち人間の手に戻っていた。彼は水面に自分の顔を映すと、見慣れない顔が映っていた。
「もう一つの世界の男に違いない。なんてすごいシャーマンなんだろう。オレもいつかあんなになってみたいなあ! 」というアカールが指で水面に触れて水輪が広がると、たちまち二つの世界は一つに統合されてしまった。
そこでリードに素晴らしいアイデアがひらめいた。「そうだ。スタートからもう一度、もっと素晴らしくて、リアルな作品をコンピュータで創ってみようと考えついた。インターネットを通して公開し、タダでみんなとそれを分かち合いたいと、彼は思った。誰でもアクセスすれば、人々は再び自然とのコネクションに目覚めるだろう、ってこう考えてリードは興奮した。
アカールは、リードの頭にあふれ出てくる想像の全ては理解できなかったが、しかしどちらの世界にも希望が生まれたことは理解できた。アカールは急いで村に駆けて戻った。そしてあのジャガーに教わったイカロ(呪術師の歌)を歌うと勇気が出てきた。
しかし村に着くとアカールは、たちまち囚われてチーフの前に突き出された。「俺はもう一度、あの世界へ行ってきたんです。そしてその世界の者に俺たちの世界を見せると、二つの世界は一つになったんです。俺たちの魂は別の場所で生き続けているんだ。」とアカールがそういうと、チーフは以前よりも一層、怒りを募らせた。
アカールがジャガーから教わったイカロを歌ってもチーフの様子は変わらない。「自分が価値ある者であることを証明しろ。ジャガーが歌うのなんて、この世界でも何回も聞いたことがある。それよりも、もう一つの世界のものを何か見せてみろ。」とチーフは言った。
最初はアカールは少しためらっていたが、それからなにやら変な言葉で語りはじめた。「SHOP FOR THE LATEST REALITIES AT THE REALITIES FACTORY! 」(リアリティーのお買い物は、リアリティーズ工場で!) とアカールがこういうなり、チーフは「一体、どういう意味なんだ」と質問した。
「もう一つの世界の人々はパワフルなシャーマンたちなんだ。偉大な魂の道具をもっている。しかし彼らのヴィジョンは空なんだ。だから彼らは俺たちからヴィジョンについて教わる必要があるのさ。そしてそれを教えたお礼として、彼らからこれからかわっていく世界で生き残これる方法を教えてもらうのさ」と、こうアカールは答えた。するとチーフは、うなずきながらアカールの勇気を賛えた。
「だが、おまえは以前の名前で再び村に戻ることは出来んぞ! 何ていう名に変える?」とチーフに聞かれると、アカールは、「リードって呼ばれたい」とにっこり笑って、こう答えた。
イアン・クーパー
幻覚のつる・・・Earl Vickerの世界
「おまえが他の世界で見てきたことを我々に分かち合ってくれ。」と部族の酋長が尋ねると、そのウォリアーは答えた。「その世界っていうのは、俺が今までに行ったことのない世界だったのさ・・・光眩しくて、目が痛くなるくらいで、雑音はひどく、おまけに混乱しているんだ。そしてまったく今まで見たこともなかった世界だったのさ。」
「どこにその世界はあるんだ?」と再びチーフが尋ねると、「わけがわからないんだが、ここのどこかに存在しているってことは確かみたいなんだ。俺たちがここに座っているのと同時にどこかでね。そしてそこの時代は、人々がすごく強い魔法の力に目覚めて、俺たちの世界なんか一発で吹き飛んでしまうほど恐ろしい武器もあるんだ。」
このようにジャングルの中である種族が集会して始まった会話を黙って密かに集会所の外で聞いていた者がいた。それはアカールという名前の少年だった。壁のすきま穴から中の様子を盗み見していた。その時の酋長の顔が今まで見たこともないほど寂しげな表情にアカールの目には映ったので、そこでアカールはその場をたち、混乱した頭を抱えてジャングルを歩いて行った。確かにチーフが集会で言っていたように、俺たちの伝統も失われつつあり、俺たちの世界は消えていくといっていたが、いったいどういう意味なのだろうかと、彼は森の中で考えこんでいた。
すると、よくみると自分の足元にジャガーの足跡があるではないか。その足跡を追って行くと、アカールはすぐにジャガーが目に止まった。ジャガーとはアカールたちの言語で、「ひとっ跳びで殺す」という意味がある。しかし森の中では一番崇高とされているこの動物が、たった今、彼の視野に飛び込んできたのである。そのジャガーはなんと森の中の大きな大木に絡みついたツルを食っていた。
やがてそのジャガーは、自分の食ったツルを吐き出し始めた。吐き出す度に身震いするのもアカールは見た。すると突然、そのジャガーはアカールの真正面に一飛びし、彼の目を覗き込むではないか。あまりにもの恐ろしさにアカールは、一瞬ジャガーから目をそらした。すると、ジャガーは消えていた。
アカールは、いつか部族の長老たちが、ヴィジョン・ヴァイン(ヴィジョンを見るツル)とよばれるものについて語っているのを耳にしたことがある。しかもそれは絶対に監督人なしにひとりでは飲んではいけないと話しているのを耳にしたことがある。さきほどのように恐怖きわまる最悪の事態を自分は切り抜けられたのだから、村で皆がやっていた儀式を思い出しながら、それを一人で飲んでみてもいいだろうと、アカールは思いついた。
決して好奇心だけではない。アカールがそれを飲みたかった理由は、自分たちの世界を守るためならば、かえってチーフも喜ぶだろうと思った。そればかりか、はれてチーフの娘、イシャとも結婚できるのではないかとアカールは考えたのである。近くの廃虚から壊れた器をひらってきて、切り落としてきたツルを細かく刻んでからやわらかくなるまで、叩きつぶしたものをアカールは器の中に入れて、ぐつぐつと煮だした。
夜暗い森の中で一人になったアカールは、できるかぎりの勇気を出した。そして匂いをかくと吐いてしまいそうになるほど、ひどい味のする煮上がったものを一気に飲みほした。しばらくするとアカールは、ぶるぶると震えだし、冷や汗を流し始めたのである。「おお・・・大変な事になっちまった! 俺はここで死んでしまうのだろうか?!」という恐怖感でアカールはすっぽりと包まれてしまった。
するとアカールは自分が誰かに見られていることに気づいた。さっき森の中で見たあのジャガーが戻っているではないか。するとそのジャガーはアカールに向かって語り始めた。
「おまえはひと爪立てたオレに殺してもらいたいがために、その死のツルを食ったんだな。」とアカールに語りだした。大猫の怒りに燃えたその目を目の当たりにしたアカールは、震え声でこういった。
「おっ俺は、おまえなんか、これっぽっちも、こっ、怖くはないぞ!」
それを聞いたジャガーはその場で笑いころげながらいった。
「おまえなんか怖くないぞ!」というアカールをそのまま真似て、歌を歌いはじめた。
あまりにもの恐怖にその場でアカールは吐くやら、漏らしたりする始末である。それを見たジャガーは、ジャングルの土の上に寝転がって腹を抱えて、ますます笑いが止まらなくなった。笑いながらジャガーはこういいた。
「オレがおまえを食っていたのなら、こんな面白い会話はなかったぞ!」
アカールは自分が確かにジャガーと会話していることに気づいた。恐ろしいが、これはすごい名誉であり、そのジャガーはたった今、自分のアライ(盟友)となってくれたと知り、彼は喜んだ。
さて、これとは場所はかわり、リードという名前の男が、アメリカのある都会のオフィスでボスのデレックからプロジェクトをやめてしまえと、今、怒鳴られている最中である。これはリードにとって最悪の場合は裁判だたにさえ、なりかねない危険な状態である。なぜかというとリードが任されていたのは、大がかりなプロジェクトだったからだ。しかし、リードのボスが一番心配していた事は、リードが自分でデザインした「アカール」というバーチャルキャラクターにあまりにものめり込んでいくことであった。ボスのデレックがオフィスから出ていくや否や、リードは再びヴァーチャル次元に行ける装置の前に戻っていた。
彼は小道を歩いていきながら、ジャングルのムーッとする豊かな匂を楽しんで味わった。「上空から見てみることにしよう! 」とコンピュータに向かってリードはいった。するとシステムは、リードに地図を提供して受け答えたのである。「小道のこの辺にジャングルをぬけて、湖を作ることにして・・・」とセットすると、地図は突然、消えてなくなった。
リードはブッシュマスターと呼ばれる2メートルもある猛毒をもつヘビに噛まれそうになりながらも、今までとはちがうまったく新しいジャングルのトレールを発見し、歩んで行った。「キャラクターを登場させよう!」と、彼がダウンロードするや否や、妙なチクチクするような感覚がリードを襲った。
そこにアカールが座っているではないか!
「なんて変なヴィジョンをこのヴァインはくれるんだ!? もう一つの世界ってひどいところじゃないか。」と目をこすりながらそういっている。
アカールは自分の村に帰り、チーフに自分が見たヴィジョンについて打ち明けることを決心した。「おまえはチーフと仲間たちの集会を盗み聞きしたのか! その上、監督人なしに一人でヴァインを飲んだのだから、罰としておまえをこの村から永遠に追放する。」と、アカールの話を聞き終えたチーフは大声で怒った。
アカールは目を真っ赤にして泣きながら村を去り、あれを飲んだ小屋跡まで再び戻っていった。どうせここで一人で死ぬのなら、もう一つの世界の悪霊と戦かわねばならないことは避けられないと、アカールは考えた。そこで彼はさっきの残りのヴィジョン・ヴァインを一息に飲んでしまった。
するとどうだろう。アカールはまたもや新しい小道を発見したのである。「こんな道、今まで見たことがない。歩き進もう」と、心の中で彼はつぶやいた。やがて湖に出てきたアカールは、水面に映っている自分の姿を見た。すると、なんと自分は裸だった!
これではもうひとつの世界の霊が笑うではないか、と彼は泣き叫んだ。 リードはすばやく後ろを向くと、ボスのデレックが戻ってきていた。もう遅すぎる。なぜかというと、リードが会社の規則を違反をしていることを見とどめたボスはむろん、リードをその場で首にした。
家に帰ったリードは、あの世界が恋しいて、再び戻ることにした。そして彼はヘッドホーンをつけると、すぐに湖に戻っていた。水面に寄り添うと、すぐさまあのキャラクター、「アカール」が登場したのである。アカールはひと瞬きすると、目の前にアナコンダが現われ、彼の足元に巻ついて湖の底へひきずりこもうとしている。彼は悲鳴をあげて必死ではいずり上がろうとした。
「キャラクター、退場!」とリードは命じる。アナコンダにかかればその少年にはチャンスはない。「しかし、待てよ・・・」とリードは考えた。「確か原住民は、自分自身の死と再生を体験するためにアヤワスカを飲むし、動物に変身したい時にもアヤワスカを飲むって聞いたが・・・ではアナコンダよりもジャガーはどうかなあ」と、リードはコンピュータに「キャラクターよ、戻れ」と命じた。
するとジャガーが湖の水面にガォーと吠えて飛び出てくると同時に、アナコンダの頭を爪で裂いた。強く締めつけられていたので毛を逆立てながら吠えると、アナコンダの息は絶えていた。アカールが巨大な猫の前足を見つめていると、たちまち人間の手に戻っていた。彼は水面に自分の顔を映すと、見慣れない顔が映っていた。
「もう一つの世界の男に違いない。なんてすごいシャーマンなんだろう。オレもいつかあんなになってみたいなあ! 」というアカールが指で水面に触れて水輪が広がると、たちまち二つの世界は一つに統合されてしまった。
そこでリードに素晴らしいアイデアがひらめいた。「そうだ。スタートからもう一度、もっと素晴らしくて、リアルな作品をコンピュータで創ってみようと考えついた。インターネットを通して公開し、タダでみんなとそれを分かち合いたいと、彼は思った。誰でもアクセスすれば、人々は再び自然とのコネクションに目覚めるだろう、ってこう考えてリードは興奮した。
アカールは、リードの頭にあふれ出てくる想像の全ては理解できなかったが、しかしどちらの世界にも希望が生まれたことは理解できた。アカールは急いで村に駆けて戻った。そしてあのジャガーに教わったイカロ(呪術師の歌)を歌うと勇気が出てきた。
しかし村に着くとアカールは、たちまち囚われてチーフの前に突き出された。「俺はもう一度、あの世界へ行ってきたんです。そしてその世界の者に俺たちの世界を見せると、二つの世界は一つになったんです。俺たちの魂は別の場所で生き続けているんだ。」とアカールがそういうと、チーフは以前よりも一層、怒りを募らせた。
アカールがジャガーから教わったイカロを歌ってもチーフの様子は変わらない。「自分が価値ある者であることを証明しろ。ジャガーが歌うのなんて、この世界でも何回も聞いたことがある。それよりも、もう一つの世界のものを何か見せてみろ。」とチーフは言った。
最初はアカールは少しためらっていたが、それからなにやら変な言葉で語りはじめた。「SHOP FOR THE LATEST REALITIES AT THE REALITIES FACTORY! 」(リアリティーのお買い物は、リアリティーズ工場で!) とアカールがこういうなり、チーフは「一体、どういう意味なんだ」と質問した。
「もう一つの世界の人々はパワフルなシャーマンたちなんだ。偉大な魂の道具をもっている。しかし彼らのヴィジョンは空なんだ。だから彼らは俺たちからヴィジョンについて教わる必要があるのさ。そしてそれを教えたお礼として、彼らからこれからかわっていく世界で生き残これる方法を教えてもらうのさ」と、こうアカールは答えた。するとチーフは、うなずきながらアカールの勇気を賛えた。
「だが、おまえは以前の名前で再び村に戻ることは出来んぞ! 何ていう名に変える?」とチーフに聞かれると、アカールは、「リードって呼ばれたい」とにっこり笑って、こう答えた。
イアン・クーパー
Posted by 愛知 ソニア at 12:14│Comments(5)
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???≪?????c?若? ???????【???≪?????c?若?削?】at 2007年06月09日 04:41
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???≪?????c?若? ???????【???≪?????c?若?削?】at 2007年06月09日 12:56