2014年10月25日
彗星の地球衝突の痕跡、エジプトで発見

サハラ砂漠に点在するガラス状の物質と、ツタンカーメンの遺物とされるブローチについて、これが地球に彗星が直接衝突したことを示す初の証拠だとする、新たな研究が発表された。新たな発見は、太陽系の誕生をめぐる謎の解明に一役買う可能性があると期待されている。
約2800万年前にエジプト上空で彗星が爆発し、摂氏2000度の爆風が地上のサハラ砂漠を襲ったと考えられる。この高温の衝撃波が砂漠の砂を溶かし、これにより生まれた無数の黄色い石英ガラスが、サハラ砂漠の6000平方キロに及ぶエリアに広がったという。
このガラスのうち、大きなものがスカラベの形に磨かれ、有名な古代エジプトの少年王、ツタンカーメンの所有物となっていたことも判明した。
「衝突クレーターの痕跡がまったくないため、この石英ガラスが実際にどういった天文現象によって発生したのかは、これまで謎だった。しかしガラスが見つかるエリアのちょうど中心部分で小さな黒い石が見つかり、これが我々の注意を引いた」と、今回の研究の共著者、デイビッド・ブロック(David Block)氏は述べている。ブロック氏は南アフリカ共和国のヨハネスバーグにあるウィットウォータースランド大学に所属する天文学者だ。
◆サハラ砂漠で見つかった謎の石の正体
この黒い小石から採取した小片を同位体分析にかけたところ、流星に由来するものではないことが明確になった。アルゴンや炭素といった元素の測定値から、この小石には彗星に特有の化学的特徴があることがわかったのだ。
流星は絶え間なく地球の大気圏に突入しており、頻度としては毎晩約15分に1回、地球のどこかで流れ星が観測可能なほどだ。しかし、彗星となると話は別だ。
惑星の大気圏内での彗星崩壊は、非常に稀な現象だ。彗星が惑星に衝突したことが確認されている事例は、今回以外ではただ1度、1994年にシューメーカー・レビー第9彗星が木星に衝突したケースのみだ。
◆確率の低さから彗星衝突説に疑問の声も
このように彗星衝突が非常に稀な事象であることから、オーストラリアのキャンベラにあるオーストラリア国立大学の地球科学者、アンドリュー・グリクソン(Andrew Glikson)氏は、テクタイトと呼ばれるこれらの黄色いガラス状物質の起源について、疑問を投げかけている。これは彗星ではなく、世界中の衝突跡で見つかるような、より一般的な隕石の落下によって生じたものではないか、というのだ。グリクソン氏はこの研究に関与していない。
多くの隕石衝突跡の周囲で、地球外物質に由来するガラス質はごく普通に存在すると考えられている。バージニア州ウィリアムズバーグにあるウィリアム・アンド・メアリー大学で隕石衝突を研究しているジェラルド・ジョンソン(Gerald Johnson)氏は、今回の研究チームが黒い小石の化学組成について説得力のある証拠を提示しているとはいえ、研究者たちがこれらの研究結果に懐疑的だとしても意外ではないと話す。ジョンソン氏は今回の研究に関わっていない。
「彗星は大部分が水(氷)でできており、この部分は大気圏内で気化するため、地質記録にはほとんど残らない。一方、彗星の中に閉じ込められている“塵”も、衝突時の飛散や、地表の風化、侵食などにより広範囲に散らばってしまうため、発見の可能性は低い」とジョンソン氏は指摘する。
「これまでに何度となく、彗星が地球に衝突したことは間違いないが、彗星衝突の証拠は記録に残りにくいため、そのような事例は知られていなかった(中略)。ゆえに今回の発見は驚くべきものだ」。
◆太陽系の起源を探る手がかりに
氷を主体とするこのような彗星由来の塵の粒子は、大気圏の上層部や南極の氷から採取されているほか、宇宙探査機が捕捉したものもある。
しかし、ある程度の大きさを持つ彗星由来の物質を直接研究できる機会が得られれば、それは非常に特別な事例になる。ブロック氏をはじめとする研究チームは、これが太陽系誕生の謎を解く、貴重な手がかりになるのではないかと考えている。
プレソーラー粒子と呼ばれる宇宙空間に存在した微粒子が、ガスと塵からなる恒星雲を形成し、太陽系のもとになったと考えられている。また、こうした粒子は彗星や流星物質の中に現在でも残っていると考えられる。
「この小さな石が今後、これまで未解明だったさまざまな謎を解き明かす鍵となるはずだ。この石には、プレソーラー粒子がぎっしりと詰まっているように見える」と、ブロック氏は期待をかけている。
この彗星由来の石に関する研究は、「Earth and Planetary Science Letters」誌11月15日号に掲載される。 ナショナルジオグラフィック ニュースより


Posted by 愛知 ソニア at 15:49
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